新たな学問体系で学ぶスポーツビジネスの本質

▲2007年度にスタートした一般向け公開講座「スポーツマネジメントスクール」で基調講演を行う種子田穣教授。

学生の人気を集めるNFL協定科目

阿江通良教授▲経営学部・経営学科の種子田穣教授は、立命館大学のスポーツビジネス研究の第一人者である。

立命館大学では、経済、経営、理工の3学部が連携し、文系・理系という既存の学問体系の垣根を取り払った教育・研究ユニット「文理総合インスティテュート」を設置。

「技術がわかる企画・営業マン」「経済や市場の動向に精通した技術者」といった、これからの社会で強く求められる複眼的な思考・発想のできる人材の育成を目標に掲げ、「ファイナンス・情報」「環境・デザイン」「サービス・マネジメント」という3 つのインスティテュートで構成されている。

民間企業や行政、研究機関などとのネットワークを重視し、インターンシップや社会と連携したプロジェクト型の研究も積極的に推進中だ。社会での実務経験を持つ教員や特別講師を多数迎え入れているのも特徴のひとつである。

「サービス・マネジメント・インスティテュート」には経済、経営の2学部に在籍する学生が所属。ヒューマン・ビジネス系とスポーツ・サービス系のどちらかのプログラムを重点的に履修する。

同インスティテュートの学生たちの人気を集めているのが、NFL(アメリカ・ナショナル・フットボール・リーグ)協定科目「21 世紀のプロスポーツビジネス」だ。この講座では、典型的なプロスポーツ組織の成功例として知られるNFL の全面協力により、プロのスポーツビジネスについて学ぶ。

勉学のモチベーションを高める最高の題材を用意

NFL 協定科目をコーディネートした種子田穣(たねだゆたか)教授は、スポーツビジネスを、フィットネスサービスビジネス、プロスポーツビジネス、オリンピックなどのスポーツイベントビジネス、スポーツ用品メーカーなどによるブランディングビジネスの4分野に大別。種子田教授が担当する「スポーツビジネス論」では、これら4 分野の代表的ケースを取り上げ、経営学の視点からスポーツビジネスの全体像を把握することを目指している。

一方、NFL 協定科目では、日本でも今後大きな市場創出が期待されるプロスポーツビジネスに特化し、NFL の経営戦略とビジネスの仕組みや運営法を具体的に学ぶ。

「500 人近い受講生がいますが、NFL の経営ノウハウを学ぶことができるのは大変有意義です。同じ経営学を学ぶにしても、世界トップレベルのプロスポーツビジネスを題材にすることで、確実に学生のモチベーションは高まります。

組織運営や財務管理、マーケティングなど、経営学としてのコアは一般のビジネス分野と同じですが、さらに広告代理店やメディアとの関係、ブランド構築なども含め、幅広くスポーツビジネスの基本を学ぶことができるからです」と種子田教授は言う。

一般向け公開講座もスタート

サービス・マネジメント・インスティテュートの所属学生には、入学時から将来への強い目的意識を持つ者が多いという。

「ことに、スポーツ分野に携わりたいという希望を持っている場合、簡単ではないと自覚できている分、やる気がある学生が多いのです」

同インスティテュートでは、毎年さまざまなチャレンジを続けてきたが、近い将来、体制をさらに発展させる計画があるという。

「体育教員を目指せるフレームを構築するのもその一例です。子どもたちに直接良い影響を与える教員を育成するのも、私たちの重要な使命ですから。スポーツビジネスについて、より幅広く、かつ専門的に学べる環境をつくりたいのです」

なお同大学では、2007 年度より一般向け公開講座「スポーツマネジメントスクール」も大阪で開催している。少子高齢化社会における心身の健康増進への寄与や、新しいサービス産業の創出という面で、スポーツに対する社会の期待は高まっている。そうした時代の要請に応え、スポーツが持つ多様な可能性を現実化させるため、スポーツ以外のさまざまなビジネス分野で活躍する講師から必要となる知見を多角的に得られるのが、この講座だ。

種子田教授のほか、スポーツビジネスに造詣の深い弁護士や公認会計士、経営コンサルタント、スポーツビジネスコンサルタントなどが講師を務めている。

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※学校情報は、2009年取材時のものです

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