●プロフィール●
1940年生まれ。63年、学習院大学卒業。66年、麻生産業入社、73年、麻生セメント代表取締役社長に就任。78年、日本青年会議所会頭。79年衆議院議員に当選、以降当選9回。経済企画庁長官、経済財政担当大臣、総務大臣、外務大臣、自由民主党幹事長を歴任。2008年、第92代内閣総理大臣。
現在、国民スポーツ担当大臣はいませんが、政策的には、スポーツを教育以外の観点からとらえる重要性が以前よりさらに増していますし、今後しばらくは、その重要性が減ることはないでしょう。だから今こそ、「スポーツ」を扱うひとつの独立した省庁が本当に必要だと思います。
もっとも、現況では新しい省庁を創設するのは至難の業。しかし、難しいからといって逃げてもいられない。真剣に検討しようと考えています。現実的には、もう一度「国民スポーツ担当大臣」を任命し、総務省や厚生労働省や経済産業省から、そしてもちろん文部科学省からもスタッフを迎えて、国民という視点からスポーツに関する政策立案をし、分野ごとに監督官庁に実行を委ねるような、政策立案とコーディネーター的な機能を持ったチームをつくることから始めるのも一案だと考えています。
いずれにしても、若い人たちには従来の枠組みにとらわれない自由な発想でスポーツを考えてもらいたい。最近はスポーツにかかわる仕事に携わっていきたいと考える若者が増えている、と聞いています。頼もしい限りです。 しかし、スポーツでもビジネスはビジネス。私も経営者のひとりとしていわせてもらえば、一流のビジネスマンでなければ、スポーツビジネスでも通用する人材とはならないでしょう。必ずしも「好き」だから「できる」わけではない。「好き」なことを仕事にするために、必死に努力して「できる」人材になってください。「好き」であれば、その努力もさほど苦にはならないかもしれない。期待しています。
《 麻生太郎インタビュー Contents 》
- (1)「人間力」を鍛えるのがスポーツの大きな役割
- (2)スポーツマンシップの究極は「尊重」の精神
- (3)「国民」という観点からスポーツをとらえ直す
- (4)日本社会の課題解決にスポーツが重要な役割を担う