2009年5月1日
B to BからB to Cへ

ソフトバンクがプロ野球に参入して今年(2009年)で5年目を迎えます。参入当時、私たちがプロ野球球団を持とうと考えたのは、一般市民の皆様に「ソフトバンク」という名前を知ってもらいたい、そんな目的からでした。
当時のソフトバンクは企業向けの通信事業を営んでおり、B to B分野の業務がほとんどでした。今となっては意外かもしれませんが、「ソフトバンク」という社名は一般の方にほとんど知名度がなかったのです。しかし近いうちに、ブロードバンド事業や日本テレコム買収による固定電話事業、さらには携帯電話事業といったB to C分野の事業への参入も予定していましたので、知名度の向上はとても大きな問題として、社内で認識されていました。そこで知名度向上の切り札として考えられたのが、「プロ野球」だったのです。
2004年末、プロ野球参入が承認されて以降、狙いの通り「ソフトバンク」の名前は急速に一般の方々へ浸透していきました。B to C事業を強化していくにあたって、ホークスの存在が大きな効果を発揮したのは間違いありません。ソフトバンクモバイルとして携帯電話事業を始めてからは、特に認知度・好感度とも高まって、多くの方が「ソフトバンク」「福岡ソフトバンクホークス」に親しみを持ってくれています。プロ野球とは直接、関係ありませんが、「白戸家の人々」のCMはとても高い好感度を獲得して、テレビCMに関するあるリサーチでは、史上初めて15部門中14部門(セクシー部門以外)で1位を獲得したと聞いています。もしかしたら、ホークスによって「ソフトバンク」の認知度が高まっていたことも、少しは関係しているかもしれません。
知名度・業績・採用力・モチベーション
ホークスによって得られたのは知名度だけではありませんでした。たとえば九州エリアでは2008年夏に、携帯電話の純増シェアにおいて80%をソフトバンクが締めるほど、圧倒的な人気を獲得しました。当然、携帯電話キャリアとしての評価や端末のデザイン人気もありますが、ソフトバンクモバイルの営業チームでもホークス効果があったと評価しています。ソフトバンクショップやYahoo!BBのプロモーションスタッフの採用に際しても、ブランド力が大いに効果を発揮していますし、ホークスが頑張ることによって販売スタッフのモチベーションの向上にもつながっています。
福岡ソフトバンクホークスという球団を持つことによって、知名度が向上し、業績向上に貢献、スタッフにも誇りを提供できる。さまざまなメリットが相乗的に発揮されるようになったのです。

1959年、香川大学経済学部卒業、富士銀行(当時)に入行。副頭取まで務めた後、安田信託銀行会長を経て、2000年にソフトバンク取締役に就任。
同グループ企業の要職を兼任するとともに、現在、福岡ソフトバンクホークス代表取締役兼オーナー代行、パシフィックリーグマーケティング代表取締役。
《 スポビズ・リーダーに聞く 》福岡ソフトバンクホークス株式会社代表取締役社長
兼オーナー代行 笠井和彦
- (1)知名度獲得にプロ野球の効果大
- (2)親会社が替わっても、応援歌は変えないで
- (3)参考にならないメジャーリーグ
- (4)自治体が評価できる価値を生み出そう