スポビズ企業の舞台裏や、そこで活躍するプロフェショナルをレポート スポビズ企業最前線

第3回

ミズノ株式会社

製造から卸売・販売までスポーツ好きの思いをつなぐ

(3)自分で考え、自分で行動を!

スポーツが好き、人間が好き

photo

 スポーツメーカーの仕事といえば、一流アスリートの担当になり、大会で用具の手配をしたり、練習場で微調整を施したりするスタッフのイメージを持つ人もいるだろうか。アスリートの足型を取り、オリジナルのスパイクを作って納品。細かな意見を聞いて、手直しをして…という場面をテレビのドキュメント番組などで見たことがある人も多いだろう。もちろんミズノにもこうしたトップレベルの選手やクラブを担当となって支援を行う販促部門の担当者がいる。けれど、それはほんの一握りの社員だけで、みんなができる仕事というわけではない。

 ミズノに限らずスポーツメーカーに就職した多くの人は営業部門の仕事をすることになる。全国津々浦々にあるスポーツ用品店を回って、スポーツの幸せを届ける仕事だ。営業担当者が訪問する先には大きなスーパーから商店街の小さな店まで、いろいろな店があり、相手の担当者も若いアルバイトさんから70歳を越えたおじいちゃんまでさまざま。でもそのほとんどが「スポーツが好き」という想いでつながる仲間であるからこそ、「スポーツが好き」「人と話すことが好き」というコミュニケーション力が大いに発揮されるフィールドでもある。市民ランナーがマラソンを走る喜びや町の草野球チームでプレーする楽しさを実感できる人であれば、きっと自分の能力を存分に発揮することができるだろう。

スポーツビジネスで成功するために

 ミズノの谷人事総務次長は、スポーツを好きな気持ちやコミュニケーション力をみがいた後は、自律型の人材であることが成長の鍵になると話す。自律型の人材というのは、つまり自分のやることを自分で決められる人材ということだ。自分の仕事を自分で決めるというのは、言葉にすれば簡単だけれど、いざ実行してみるのは難しい。仕事相手が何を望んでいて、自分に何ができるのかを考えなければいけないし、「これだけやれば良いだろう」という自分への甘えとの戦いも待っている。言われたことだけやっているのが一番楽ではあるけれど、それでは決してスポーツビジネスの世界で成長することはできないのだ。

 「営業担当者というのは自分の担当エリアで成果をあげる一国一城の主のようなものです。言われたことをそのままやるのではなくて、自分でいろいろと考え行動することが、成果を伸ばすためには大切です。多少、苦労することもあるかもしれませんが、若い頃に自分で頭を使う経験をすることは、きっと将来の糧になると思います」。

 日々の仕事では当然、キツイこともあるという。でも、自分の好きなスポーツに携わっていられる。そんな喜びが、自分の背中を押すエネルギーになるのだという。

《 スポビズ企業最前線 》第二回 - ミズノ 株式会社 -