スポーツビジネス界を牽引するビジネスパーソン スポビズ・リーダーに聞く

東京から新しいオリンピック像を~日本スポーツ界を変革し、豊かに育むチャンスに~

東京オリンピック・パラリンピック招致委員会事務総長 河野一郎

2.オリンピック招致をスポーツ変革の力に

日本のスポーツは?

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 「日本はスポーツの位置づけが他国とちょっと違うんじゃないか…?」

 スポーツにさまざまなかたちでかかわるうちに、私の中にそんな思いが徐々に膨らんでいきました。たとえば、ラグビー協会では、2011年のワールドカップ招致を実現できませんでした。その要因はいろいろ考えられますが、その中のひとつに政府の財政保証が得られなかったことがあげられます。もちろん政府の保証があるから招致できるとか、ないからダメということではありません。しかし、何をどうしたら政府のバックアップを得られ、ワールドカップ開催に結びつけられたのか。日本の国全体でスポーツを盛り上げていくためには、何を変えていかなければならないのか。さまざまな団体や立場でスポーツマネジメントの経験を重ねるうちに、そうしたことを考える機会が増えていきました。

オリンピック招致に向けて

 振り返ってみると、日本の競技スポーツを規定する法律は1961年に施行された「スポーツ振興法」しかありません。今、それに代わる新しい法律のあり方について議論が重ねられていますが、半世紀近く前に比べて世界の経済・社会の状況が大きく変わっている現在、「スポーツ立国」を目指して国のスポーツに対する取り組み方を明確にしていかなければなりません。JADA立ち上げのころから国会議員の方々とは盛んにディスカッションを重ね、ナショナルトレーニングセンター設立の際にも貴重な意見や支援をいただきました。東京オリンピック招致でリーダーシップを発揮している石原慎太郎都知事もそうですが、幸い、この国のスポーツのあり方を考えようという数多くの政治家や経済人が今、力を結集しつつあります。

 こうしたスポーツ振興活動はすべて一環した流れの中にあります。国会議員や競技団体の運営委員、クラブチームのスタッフ、競技者、スポーツドクター。そうした立場や垣根を越えて、今、日本のスポーツを盛り上げていこうという活動が活発になってきています。東京オリンピック招致も、その流れにあると言えるでしょう。スポーツには人を動かし、社会を動かし、国を動かす力があります。これを良い方向に動かすためにも、ぜひオリンピック招致を成功させて、国民がひとつになって日本スポーツ界を熱く豊かにする機会を創出したいと考えています。そうすることで、日本のスポーツの位置づけも他国と同様に、国全体で一体になれる文化へと、より成長することができるでしょう。

《 スポビズ・リーダーに聞く 》東京オリンピック・パラリンピック招致委員会事務総長
河野一郎