スポーツビジネス界を牽引するビジネスパーソン スポビズ・リーダーに聞く

球団の経営基盤を強化して健全な青少年の育成を

福岡ソフトバンクホークス株式会社代表取締役社長兼オーナー代行 笠井和彦

4.自治体が評価できる価値を生み出そう

年間225万人が集う場所

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 アメリカの球団経営と日本のそれとでは、仕組みがまったく違うことをお話ししました。自治体による負担が、日米では桁違いなため、私たちはどうしても企業が金銭的に引っ張って行かなければなりません。しかしアメリカではそれがない。だから日本では地域名+企業名+愛称、アメリカでは地域名+愛称という名前が一般的になっているのです。もちろん先進事例としてMLBから学ぶところはたくさんあると思いますが、何より仕組みがまったく違うのです。

 しかしその違いを愚痴ってばかりいても仕方ありませんから、私たちはこの差異を理解してもらった上で、年間225万人もの人が球場に集ってくれる。これだけの人が集まるのは、他には東京ドーム、甲子園、名古屋ドームぐらいのものです。そういうメリットを自治体に評価してもらって、何らかの支援がいただければうれしいですね。

 たとえば春季キャンプを行う宮崎市の運動公園では、とても使いやすい球場施設を比較的安価に提供してくださっています。キャンプ期間中は、宮崎市民の皆様に練習見学を楽しんでいただけますし、ニュース等を通じて、宮崎のPRにも協力できていると思います。そのように自治体が認めてくれる価値を表に出していくということが、とても重要かもしれません。福岡でも「鷹の祭典」では、街中の事業所にホークスのユニフォームを配って盛り上げるなど、市民の皆様と一緒に盛り上がる機会を作っています。これからも今まで以上に市民との連携を深めて、自治体にも価値をもっと認められる存在になりたいですね。

一人でも多くの人に楽しさを

 そのためには、たとえば千葉ロッテマリーンズと千葉市との連携はモデルケースになるでしょう。それ以外にも、各方面に参考にすべき事例はあると思います。私は球団の中にいるので、実感に乏しい部分はありますが、パ・リーグが、あるいは日本のプロ野球(NPB)が変わってきている、変わろうとしているのは間違いありません。

 PLM(パシフィック・リーグマーケティング)を通じて、各球団が経営ノウハウや集客の成功事例を共有したり、クライマックスシリーズのスポンサー獲得を行うなど、実践的な経営面でも具体的な成果は生まれつつあります。これからも私たちは、ホークスを通じて、福岡市民の皆様や日本中のプロ野球ファンの皆様に、野球の楽しさを提供し、プロ野球をより魅力あふれるコンテンツに育てて行かなければなりません。市民に娯楽を提供するというスポーツビジネスの特殊性を踏まえつつ、一般のビジネスから応用できる手法は、それを活用して、一人でも多くの皆様に楽しさを届けていきたいと思います。

《 スポビズ・リーダーに聞く 》福岡ソフトバンクホークス株式会社代表取締役社長
兼オーナー代行 笠井和彦