スポーツビジネス界を牽引するビジネスパーソン スポビズ・リーダーに聞く

球団の経営基盤を強化して健全な青少年の育成を

福岡ソフトバンクホークス株式会社代表取締役社長兼オーナー代行 笠井和彦

2.親会社が替わっても、応援歌は変えないで

九州財界から好感

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 破綻してしまったダイエーによる球団経営が行き詰まり、私たちがホークスの受け皿に立候補した時、ソフトバンクの収支は実は赤字の状態でした。そこに巨額の投資をしてプロ野球球団を買収しようというのですから、社内には当然、賛否両論が渦巻きました。先にお話ししたようなメリットを挙げて賛成する者もいれば、「赤字なんだから…」と慎重な姿勢をアピールする者もいました。プロ野球参入の時に限らず、ソフトバンクの役員会はつねに自由な空気に包まれ、活発な意見の交換が行われるのですが、当時は特に多くの意見が述べられ、そして議論されました。

 赤字とはいえども、ブロードバンドや固定電話事業の開始による黒字化は見込まれており、金融機関への説明も滞りなく行われました。また当時、福岡の経済界では、ホークスがダイエーの手を離れるということで、果たしてプロ野球が福岡・九州に残ってくれるのかどうか、とても心配されていました。一方で、私たちがホークスを福岡に残すことを早々に表明しており、さらに社長の孫正義が地元ということもあって、九州財界の皆さんは私たちがホークスの受け皿となることに非常に好感を抱いてくださいました。そのおかげもあり、社内外で議論が尽くされた結果、比較的スムーズにホークスを買収することができたのです。

他球団ファンも「ソフトバンクを使おうかな」

 九州に溶け込むという意味では、応援歌が象徴的でしょう。ファンの皆様がホークスを大切に思う気持ちから、「親会社が替わっても、応援歌は変えないでほしい」との意見が届きました。それまで応援歌に込めてきたファンの皆様の総意だったのでしょう。私たちも、それならばということで、歌詞の中の「ダイエーホークス」の部分を「ソフトバンクホークス」に変える最低限の変更だけで、応援歌をそのままにとどめました。そうした配慮も、多くの方々に「福岡ソフトバンクホークス」を認めてもらえた理由に挙げられるかもしれませんね。

 もちろん今では社内の役員も「ホークスを買って良かった」の声ばかりです。ときどき、外でお会いした人から「ライバルチームのファンが、ソフトバンクモバイルやYahoo!BBを避けるようになってしまうのでは?」と心配してくれることはあります。もちろんNTTdocomoやauがプロ野球チームを持っていれば、ライバルにもなったでしょう。しかし、幸いなことに他の通信事業会社はプロ野球チームを持っていませんから、逆に他球団の職員やファンの方からも「ソフトバンクの携帯電話を使おうかな」との声が挙がるほどで、心配には及びません。今では福岡や九州のホークスファンの方だけではなく、日本中のプロ野球ファンの皆様から、「ソフトバンク」という会社を応援していただいているような気がしています。

《 スポビズ・リーダーに聞く 》福岡ソフトバンクホークス株式会社代表取締役社長
兼オーナー代行 笠井和彦